VOL.1 地元の木を、地元のプロの手で。津山発の家具ブランド【TSUYAMA FURNITURE様】

街と未来をつなぐ岡山の企業 OKAYAMA company journal Vol.1
私たちMORITOは《街並みをデザインする》をコンセプトに、岡山県北を中心に住宅や公共施設を手掛けています。
「家づくり」は、暮らしをつくり、街の風景をつくること。
私たちが住む街や地域の魅力をもっと深く知り、伝えていくことも《街並みをデザインする》大切な一歩だと思っています。
この想いから、地元岡山で活躍する企業や人、ものづくりの現場を訪ね、その魅力を発信していく新しい企画をスタートしました。
地域で根を張り、想いを持って活動している企業をより深く知っていただくことで、
街の未来が少しでも明るく、豊かになることを願って――。
第一回目は、
津山の杉・桧を活用し、デザインを通じて現代の暮らしに美しく落とし込む、津山発の家具ブランド『TSUYAMA FURNITURE』。
TSUYAMA FURNITURE(ツヤマ ファニチャー)
2019年、津山市の主導により設立された『TSUYAMA FURNITURE』。
津山市の特産である「美作杉」や「美作桧」を素材に、
行政・デザイナー・木工メーカーが連携し、ここでしか生み出せない家具をプロデュースされています。
「地元から日本、いずれは世界へ発信していきたい」という志をともにする、
木の目利きから、建具、壁面収納家具、木札、キッチンのスペシャリストたちによる津山市の4社によってつくられています。
◼︎株式会社イマガワ
◼︎株式会社すえ木工
◼︎有限会社髙橋工芸
◼︎有限会社松永建材店
地元の木を、地元のプロの手で
岡山県美作地域に位置する津山市は、杉や桧の一大産地。特に桧は、日本一の生産量を誇ります。
木材産業が盛んなこの地域では、森林資源を守り活用するため、「森づくり条例」や「基本計画」を策定され、長年林業の課題に向き合ってきました。
そうした地域の資源や専門性、そして持続可能な森林づくりへの思いが、TSUYAMA FURNITURE誕生の背景にあります。
また、「美作杉」や「美作桧」は建材としての用途が多い一方で、
その柔らかさや色合い、木肌の美しさをもっと身近に感じてほしいという思いから、家具ブランドとして展開されています。
高いデザイン性と、木の魅力を引き出す造形
TSUYAMA FURNITUREの家具のデザインを手掛けているのは、
京都を拠点とする『SEIKI DESIGN STUDIO』のデザイナー・石井聖己さん。
持続可能な価値の創造を目指し、日常に潜む無意識な感情や衝動をアイデアの源に、
素材そのものの美しさや質感を活かしたシンプルな造形にこだわったデザインを手掛けています。
TSUYAMA FURNITUREのテーマは、「シンプルで優しい曲線と触りたくなる造形」。
針葉樹の木肌の美しさを損なわないよう、シンプルな造形と面の構成でデザインされ、
柾目を揃えた木取りや、強度に配慮した継ぎ方など、ディテールにまで丁寧な工夫が凝らされています。
滑らかな質感、爽やかな色味、美しい光沢。
こうした針葉樹ならではの魅力を最大限に引き出すことで、日々の暮らしに馴染む、上質でやさしい家具が生み出されています。
その高いデザイン性と取り組みは高く評価され、2023年度にはグッドデザイン賞を受賞。
2024年には、岡山県北で開催された「森の芸術祭」への参加をはじめ、東京、大阪、コペンハーゲンなど国内外の展示会にも出展し、
地元を越え、日本、そして世界へと活躍の場を広げています。
TSUYAMA FURNITURE常設ショールーム
2024年12月、常設ショールームがオープンしました。
オンラインや写真では伝わりにくい杉・桧のやわらかさや質感、家具のもつ空気感を直接体感できる場所です。
さらに、先日7月23日(水)には、ショールームのリニューアルオープンイベントが開催され、私もお伺いさせていただきました!
イベントには、
インテリアスタイリスト・中田由美さん(空間スタイリング担当)
プロダクトデザイナー・石井聖己さん
エディター・佐藤久美子さん(モデレーター)
を迎え、多くの関係者や津山市長も来場され、ブランドの背景や家具へのこだわりが語られるとともに、実際に触れて体験できる機会となりました。
美作の杉と桧を活用した家具
リニューアルにより、ブランドの世界観をより深く感じ、暮らしをイメージしやすいよう、
リビング・ダイニング・キッチンの構成に合わせた展示がされています。
◯ ヒノキの折りたたみテーブル(大小サイズあり)(株式会社イマガワ)
天板を外せば簡単に持ち運びでき、来客時やアウトドア、テラスなど幅広く活躍するテーブルです。
◯ ヒノキのTVボード(株式会社イマガワ)
無垢の桧を使用し、一人暮らしやマンションにもなじむコンパクトサイズ。空間に自然のやさしさを演出します。
◯ ヒノキのパーテーション(株式会社すえ木工)
桧の柾目の板を使用。6mmの紐が編み込まれ、自由に曲げて設置できます。
◯ スギの格子ボード(株式会社イマガワ)
格子を全面にあしらったTVボード。
職人さんが一つ一つピッチを揃え、繊細に仕上げられた美しいデザインです。
◯ ヒノキのブロックソファ(2シータ)(有限会社髙橋工芸)
桧の板を贅沢に使ったソファ。背面にも桧板が施され、360度どこから見ても美しい構成。
オットマンは今後、商品化するかもしれないとのことです!
◯ ヒノキのコンパクトキッチン(有限会社松永建材店)
アイランド型のキッチンで、桧を外板にあしらい繊細な縦の木目が美しいです。
ステンレスの天板との相性も抜群で、
和モダンやジャパンディ、スタイリッシュなテイストのお家にぴったり。
内側の棚は三段になっていて、収納性や機能性も確保されたコンパクトなキッチンです。
同じく桧で作られたキッチン用品やライトと合わせると雰囲気に一体感が出ていいですね。
◯ ヒノキのナイフスタンド(有限会社髙橋工芸)
オブジェのようなフォルムがかわいいナイフスタンド。
3つ木の魂を連結させ、ペティナイフから一般的な包丁まで対応可能です。
◯ ヒノキのワンホールドリッパー(株式会社すえ木工)
マグカップやコーヒーポットの上に置き、
ペーパーフィルターをセットして使用するコーヒードリッパー。
桧の集成材から削り出し、同じ木目が一つとしてないデザインです。ガラスのポットとも相性抜群◎。
◯ ヒノキのおぼんトレイ(大小サイズあり)(株式会社イマガワ)
曲面部の手触りが心地いい、桧のトレイ。
◯ ヒノキのラウンドスツール(株式会社すえ木工)
アルヴァ・アアルトがデザインした代表作「スツール60」をオマージュし、
桧で制作するとどうなるかトライして誕生した、優しい木肌が特徴の一脚。
積み重ねての収納も可能です。
◯ ヒノキのフラワーポット(大中小とサイズあり)(株式会社すえ木工)
桧の集成材から削り出したフラワーベース。
内部は金属製になっているため、水を入れることも可能。
しっかりとした重さで安定し、大きめのお花を生けることもできます。
◯ ヒノキのトリペット(有限会社髙橋工芸)
3枚の板をつなぎ合わせた鍋敷き。
写真のように自立させることもできるので、ちょっとした空間のアクセントにもなります。
中心から外に向かって、木目が流れているのも美しいです。
ショールームには、まだまだ魅力的なラインナップが揃っており、新作や限定品も展示されています。
すべての商品を一堂に見られるのはこちらのショールームだけ。
購入(※基本的に受注生産)も可能とのことです。
一つひとつのアイテムに、素材へのこだわりと職人の想いが込められたTSUYAMA FURNITUREの家具たち。
ただ「使うもの」としての家具ではなく、地元の木を五感で感じ、日々の暮らしにやさしさと彩りを添えてくれる――。
そんな“豊かさを届けるものづくり”を、肌で感じることができました。
ぜひ、皆さまもショールームに足を運んでみてくださいね。
【TSUYAMA FURNITURE ショールーム】
〒708-0015
岡山県津山市神戸67有限会社松永建材店内
TEL |0868‐28-1234
OPEN |10:00 ~ 16:00
CLOSE |第2・第4 土曜、日曜・祝日